就労継続支援B型事業所について解説をします。
Contents
就労継続支援B型事業所とは
就労継続支援B型事業所は、特別な配慮が必要な人たちのための働く場所です。この事業所は、一般の会社や就労継続支援A型事業所で働くのが難しい人たちを支援します。
就労継続支援B型事業所は、より多くの支援を必要とする人たちに働く機会を提供しています。
就労継続支援B型事業所の利用者とは
この事業所を利用できる人は、次のような条件を満たす必要があります。
- 障がいのある人
- 障がいに相当する状態にある人
- 難病を抱えている人
ただし、上記の条件だけでは利用できません。さらに、次のいずれかの条件も必要です。
- 一般企業やA型事業所での就労経験はあるが、年齢や体力面で働くのが難しくなった人
- 50歳以上の人
- 障害基礎年金1級を受けている人
- 就労移行支援事業所などで、就労面の課題があると評価された人
利用には障害者手帳は必須ではありません。ただし、手帳を持っていない人は医師の診断が必要です。
【就労継続B型】で体験できる多様な作業と活動
就労継続B型サービスの目的とは
就労継続B型は、一般企業での就労が難しい障害のある方が、自分のペースで働きながら収入を得られる福祉サービスです。このサービスの最大の特徴は、雇用契約を結ばずに働けることで、障害の種類や程度に関わらず、自分の能力や体調に合わせた働き方ができます。就労継続B型の目的は、単に「働く場所」を提供するだけでなく、社会参加の機会を増やし、働く喜びを感じながら自立を目指すことにあります。

全国の【就労継続B型】事業所で行われている多彩な作業
全国の就労継続B型事業所では実に様々な作業が行われています。具体的には以下のような作業が多くお見受けします。
- 製品製造: お菓子・パン作り、手工芸品、小物製作
- 清掃・リサイクル: 施設清掃、古紙回収、分別作業
- 農作業: 野菜栽培、花卉栽培、農産物の加工
- 事務作業: データ入力、シール貼り、封入作業
- サービス業: カフェ運営、店舗販売、配達
【就労継続B型】での一日の過ごし方
就労継続B型の一般的な一日は、午前9時〜午後3時頃までの時間帯で、以下のようなスケジュールで進められます。
- 9:00 朝礼(体調確認・その日の作業内容の説明)
- 9:30〜12:00 午前の作業
- 12:00〜13:00 昼食・休憩
- 13:00〜15:00 午後の作業
- 15:00 終礼(作業の振り返り・翌日の予定確認)
多くの事業所では週5日の通所が基本ですが、利用者の状況に応じて週2〜3日からの利用も可能です。また、定期的に行事やレクリエーションを取り入れ、メリハリのある活動を提供している事業所も増えています。
職業訓練の内容から見る【就労継続B型】サービスの特徴
一般就労と【就労継続B型】の重要な違い
繰り返しとなりますが、就労継続B型サービスの最大の特徴は、一般就労とは異なり「雇用契約を結ばない」という点です。これにより、障害のある方が自分のペースで無理なく働くことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
雇用契約 | なし |
最低賃金保障 | なし |
支援内容 | 生産活動の機会提供、就労に必要な知識・能力向上のための訓練 |
利用者の状況 | A型よりも支援が必要な人が多い |
雇用契約を結んでいないこそ、一般企業では求められる「生産性」や「効率」よりも、個々の「できること」や「得意なこと」に焦点を当て、段階的にスキルを伸ばしていくことを重視することができるようになります。
また、就労継続B型では利用者の状態に合わせて働く時間や日数を調整できるため、突然休むようなことがあったとしても、雇用契約と比べておおらか体調の波に合わせて利用することができ、安心して継続的に通うことができます。
雇用契約でない反面「最低賃金」で働くということにならず、就労継続A型や障害者雇用で働くよりも収入が安くなってしまいます。
厚生労働省が定める【就労継続B型】の訓練内容
厚生労働省の「障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」によれば、就労継続B型事業所では以下の訓練内容が推奨されています。
- 生産活動や作業活動の機会の提供: 実際の商品製造やサービス提供を通じた訓練
- 職場での基本的ルールの習得: 時間厳守、報告・連絡・相談、安全衛生など
- 一般就労に必要な知識や能力の向上: 集中力、持続力、協調性の育成
- 社会生活技能の向上: 日常生活に必要なコミュニケーションスキルの習得
これらの訓練を通じて、利用者は社会参加のための基本的なスキルを身につけることができます。
実際の【就労継続B型】での訓練プログラム例
ある就労継続B型事業所では、以下のような訓練プログラムを実施しています。
- コミュニケーショントレーニング: 週1回のグループワークで、あいさつの仕方や依頼の方法、断り方などを練習
- 基本的作業スキル習得: 段階的な難易度設定による集中力・正確性の向上訓練(例:シール貼り→検品→梱包の流れ)
- ビジネスマナー講座: 月1回の外部講師による実践的なマナー研修
- パソコンスキル講座: 基本操作からデータ入力まで個別進度で学習
ここ事業所では、訓練は楽しみながら行うことが大切だから、利用者さんが『またやりたい』と思える工夫をしているそうです。
障害特性に合わせた【就労継続B型】でのカスタマイズ事例
就労継続B型の大きな強みは、一人ひとりの障害特性に合わせた訓練内容のカスタマイズが可能な点です。例としては、
- 発達障害のCさん: 細かい作業が得意なため、手先を使う精密な組立作業を担当。視覚的な手順書を用意し、混乱なく作業できるよう工夫
- 精神障害のDさん: 対人ストレスを考慮し、少人数チームでの作業から始め、徐々にグループ規模を大きくして適応力を養成
- 身体障害のEさん: 座位での作業が中心となるよう環境を整備し、パソコン入力やデザイン系の作業で能力を発揮
「一人ひとりの『できること』に着目し、それを伸ばす支援を心がけています。小さな成功体験の積み重ねが自信につながるんです」と、ベテラン支援員は語ります。
就労継続B型では、このような個別対応により、障害があっても「働く喜び」と「社会参加」の機会を提供しています。
【就労継続B型】利用者の障害特性に応じた作業環境の工夫
障害特性別に見る【就労継続B型】での環境調整方法
就労継続B型事業所では、利用者一人ひとりの障害特性に応じた作業環境の工夫が行われています。障害の種類によって必要な配慮は大きく異なります。
身体障害のある方には、車いす利用者のための作業台の高さ調整や、扉の自動ドア化、操作しやすい治具(作業補助具)の開発などが行われています。立ち仕事が難しい方のために座位での作業環境を整えたり、片手でも効率的に作業できるような工夫も見られます。
知的障害のある方には、作業手順を視覚的に理解しやすくするためのピクトグラムや写真つきマニュアルの活用が効果的です。また、作業工程を細分化し、一つひとつのステップをわかりやすく提示することで、複雑な作業も安心して取り組めるよう配慮されています。
精神障害のある方には、休憩スペースの確保や、ストレスを感じた時にリフレッシュできる空間の設置が重要です。また、周囲の目を気にせず集中できる個別作業スペースの確保や、無理なくコミュニケーションが取れる少人数グループでの作業環境なども取り入れられています。
発達障害のある方には、刺激を適切にコントロールした環境づくりが効果的です。特に感覚過敏に配慮し、音や光、人の動きなどの刺激を調整した環境や、予定変更を視覚的に把握できるスケジュールボードの活用などが行われています。
【就労継続B型】事業所で見られる配慮事例のデータ
日本障害者雇用促進協会の調査によれば、就労継続B型事業所の約80%が何らかの環境調整を実施しており、最も多いのは「作業手順の視覚化」(68%)、次いで「個別の作業スペース確保」(54%)、「感覚刺激の調整」(47%)となっています。また、事業所の62%が「利用者からの要望に基づく環境調整」を行っており、個別ニーズへの対応を重視していることが分かります。
特にバリアフリー対応については、新設の事業所では95%以上で基本的な対応がなされており、既存施設でも改修により対応が進んでいます。感覚過敏への配慮としては、照明のLED化やブラインドの設置、防音材の使用などが一般的です。
実際の【就労継続B型】事業所での工夫例
就労継続B型事業所「ほのか」では、以下のような具体的な工夫を行っています。
- 色分けシステム: 作業台や工具、材料をすべて色分けし、どの工程でどの道具を使うかが一目でわかるよう工夫
- 集中ブース: 周囲の視覚・聴覚情報を遮断できる個別ブースを設置し、集中を妨げる要素を最小限に
- タイムタイマー: 残り時間が視覚的に分かるタイマーを導入し、時間の見通しを立てやすく
- 高さ調整可能な作業台: 車いす利用者から立位作業まで対応できる電動昇降式の作業台を採用
「環境を調整することで、障害特性が『個性』として生かせるようになります」と施設長は話します。
自分に合った【就労継続B型】環境を見つけるためのチェックポイント
自分に合った就労継続B型事業所を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 見学時の確認事項: 作業環境の音や光の状況、休憩スペースの有無、トイレなどの設備
- 質問すべきこと: 障害特性への理解度、個別配慮の事例、環境調整の柔軟性
- 体験利用での確認: 実際に作業してみて感じる疲労度や集中のしやすさ
- 支援者のスタンス: 「できること」に着目しているか、「無理をさせない」配慮があるか
「環境が変われば、できることも変わります。自分に合った場所を見つけることが、長く続けるコツです」とベテラン相談支援専門員は助言しています。
【就労継続B型】で期待できる工賃の実態と仕組み
【就労継続B型】における工賃の全国平均と地域差
就労継続B型を利用する際に気になるのが「いくらの工賃がもらえるのか」という点です。厚生労働省の最新データによると、就労継続B型事業所の全国平均工賃は月額約16,000円となっています。ただし、この金額には大きな地域差があり、都市部では平均20,000円以上の地域がある一方、地方では12,000円程度の地域もあります。
工賃の差は地域だけでなく、事業所ごとにも大きく異なります。全国の就労継続B型事業所の中には、月額30,000円以上の工賃を実現している事業所がある一方で、1万円に満たない事業所も少なくありません。この差は、事業所の経営方針や取り扱う仕事の種類、地域の経済状況などによって生じています。
【就労継続B型】工賃の最新データと年次推移
厚生労働省の「工賃(賃金)の状況」によれば、就労継続B型の全国平均工賃は、過去5年間で緩やかな上昇傾向にあります。令和元年度の15,776円から令和5年度には16,118円へと、約2.2%増加しています。
業種別に見ると、「ソフトウェア開発・IT関連」「食品製造・販売」「農業・園芸」などの分野で比較的高い工賃を実現している事業所が多い傾向です。また、複数の企業と安定した取引関係を構築している事業所ほど、高い工賃水準を維持していることがわかっています。
【就労継続B型】における工賃の計算方法と支払いサイクル
就労継続B型での工賃は、主に以下の3つの方式で計算されています。
- 時間給方式: 作業時間に応じて工賃を計算(例:1時間あたり300円〜400円)
- 出来高方式: 完成した製品数や達成した作業量に応じて計算
- 混合方式: 基本給(固定給)と出来高払いを組み合わせた方式
多くの事業所では月払いが一般的ですが、中には週払いや日払いを導入している事業所もあります。「毎月15日に先月分の工賃を支払っています。工賃明細書も発行するので、自分の働きと収入の関係が明確にわかります」と、ある事業所の職員は話します。
工賃は障害基礎年金などの社会保障給付と併せて受け取ることができる点も、利用者にとっての大きなメリットです。
工賃向上に取り組む【就労継続B型】事業所の特徴と選び方
工賃の高い就労継続B型事業所には、いくつかの共通点があります。
- 販路開拓への積極的な取り組み: 自社製品の開発や企業との連携強化
- 専門性の高い作業の導入: IT関連業務や特殊技術を活かした製品製造
- 効率的な生産体制: 利用者の特性を活かした作業分担と環境整備
- 経営的視点の導入: 福祉だけでなくビジネスの視点も持った運営
事業所を選ぶ際は、工賃実績だけでなく「工賃向上計画」の内容や具体的な取り組みについても確認することをおすすめします。「見学の際には、過去3年間の平均工賃の推移や、どのような仕事が多いかを質問してみるといいでしょう」と就労支援の専門家はアドバイスしています。
高い工賃も大切ですが、自分の特性や希望に合った作業内容であることも長く続けるためには重要です。複数の事業所を比較検討し、総合的に判断することが理想的です。
あなたに合った【就労継続B型】サービスを見つけるために
これまでのポイント総まとめ
就労継続B型サービスは、障害のある方が自分のペースで働きながら社会参加できる貴重な場です。これまで見てきたように、作業内容は製造業から農業、IT関連まで多岐にわたり、障害特性に合わせた環境調整や個別の職業訓練プログラムも提供されています。工賃は全国平均で月額約16,000円ですが、事業所によって大きく異なります。
あなたに合った就労継続B型を選ぶ際に重要なのは、以下のポイントです:
- 自分の興味や得意なことに合った作業内容かどうか
- 障害特性に適した環境調整がなされているか
- 通いやすい立地や時間帯で利用できるか
- スタッフの支援方針や雰囲気が自分に合っているか
- 将来的な目標(一般就労や長期的な安定など)に沿った支援があるか
これらを総合的に検討し、実際に見学や体験を通して確かめることが大切です。
次のステップ:見学・体験利用の申し込み方法
就労継続B型サービスの利用を検討されている方は、まず以下の手順で進めましょう。
- 情報収集: お住まいの地域の就労継続B型事業所をリストアップ(市区町村の障害福祉課やウェブサイトで検索)
- 電話問い合わせ: 興味のある事業所に連絡し、見学可能日を確認
- 見学予約: 複数の事業所を見学し比較することをおすすめします
- 体験利用の申し込み: 見学後、気になった事業所で体験利用(多くの事業所では1日〜1週間程度の体験が可能)
- 計画相談: サービス利用には計画相談が必要なので、相談支援事業所に連絡
「百聞は一見に如かず。まずは見学に行ってみることが一番です。不安な方は家族や支援者と一緒に訪問されることをおすすめします」と、障害者就労支援のベテラン相談員は話します。
信頼できる相談先リスト
就労継続B型サービスについて相談できる主な窓口は以下の通りです。
- 市区町村の障害福祉課: 基本情報や地域の事業所情報、制度の説明
- 相談支援事業所: サービス利用計画の作成や具体的な事業所選びのアドバイス
- 障害者就業・生活支援センター: 就労面と生活面の両方をサポート
- 障害者職業センター: 専門的な職業評価や職業準備支援
- ハローワーク(専門窓口): 障害者向け就労支援窓口での相談
「最初は福祉の制度がわかりにくいと感じるかもしれませんが、一人で抱え込まず専門家に相談することで道が開けることが多いです」と相談支援専門員はアドバイスしています。
【就労継続B型】に関する最新情報の入手方法
就労継続B型サービスは制度改正が定期的に行われるため、最新情報を入手することも大切です。情報源としては、
- 厚生労働省ホームページ: 障害福祉サービスの最新情報や報酬改定
- WAM NET(福祉医療機構): 障害福祉サービスの動向や統計データ
- 地域の自立支援協議会: 地域の障害福祉サービスに関する情報
- 障害者団体のニュースレターやSNS: 利用者目線の情報や口コミ
「制度は複雑で変更も多いですが、自分に関係する部分だけを把握すれば大丈夫。わからないことはいつでも相談支援専門員に聞いてください」と福祉事務所の担当者は話します。
まとめ
会社に勤めたい、でも勤められるか自信がない、そして、主治医からも直ぐの就職は難しいと言われている。そのような時って気持ちが焦ってしまったり、自分自身に対して苛立ったりするかもしれませんが、今のご自分がどこまでやれるかを確認してみる上でも就労継続B型に通所する、または在宅でも利用してみるのも良いのかなと思います。
B型は工賃も安いし、ご自分がしたいことから考えると寄り道と感じられるかもしれません。ですが、その寄り道と感じたことが実は人生に必要な時期だったりもします。
これからのAI時代に適応するポイントの1つは、自分らしく働くことです。自分らしく働くってどのような働き方なのかをじっくり考えるタイミングかもしれません。
あなたらしく働ける場所を見つけるために、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
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