障がい者の方々への就労支援サポート制度について解説します!!

障がい者の方々を支える3つの就労支援サポート制度

働きたい気持ちはあるけれど、一般企業での就労が難しい障がい者の方々。そんな方々が利用できる支援サービスをご存知ですか?

障害者総合支援法で定められた3つの制度があります。

就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型です。これらのサービスは、障がいのある方の就労をサポートしてくれる制度です。

障害者総合支援法とは

障害者総合支援法は、「障害者及び障害児が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営む」ために作られました。この法律により、国は地域生活支援事業を含む総合的なサポートを提供することになりました。

法律の理念に基づき、先ほど述べた通り、次の3つの就労支援サービスが生まれました。

  • 就労移行支援事業
  • 就労継続支援A型事業
  • 就労継続支援B型事業

これから、それぞれのサービスの特徴について詳しく見ていきましょう。各サービスの違いを理解することで、自分に合った支援を選びやすくなるはずです。

項目就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型
目的一般就職に向けた必要なスキル習得 継続的な就労や生産活動機会の提供社会参加と就労に向けた活動の提供
対象者障害を持ち、一般就職・障害者雇用を目指す人障害を持ち、一定の支援を受けながら就労を続けたい人重度の障害を持ち、一般就労が難しい人
雇用契約なし (訓練期間中)あり(就労継続支援A型施設との雇用契約)なし(日中活動中心)
賃金(工賃)なし(訓練中は賃金が発生しない)あり(生産活動による工賃が支払われる)あり(簡単な作業による工賃が支払われる場合も)
平均月収該当なし月収79,625円(令和2年度)月額15,776円(令和2年度)
利用年齢特に制限はなく18歳~65歳未満特に制限はなく、多くは18歳~65歳未満特に制限なし
利用期間短期間から長期まで様々(原則2年間)長期間(個々の状況に応じて継続利用可能)長期間(個々の状況に応じて継続的に利用可能

就労移行支援と就労継続支援の違いを解説!!

前述の「就労移行支援」と「就労継続支援」のサービスは、目的と対象者が異なり、障がいのある方の状況や希望に応じて選択できるようになっています。

以下、それぞれのサービスの特徴を比較してみましょう:

1,就労移行支援について

  • 目的:一般企業への就職
  • 対象:一般枠または障害者枠での就職を希望する方
  • 内容:就職に必要なスキルを身につけるためのトレーニング

(1)施設見学から利用開始まで流れを解説!?

就労移行支援事業所の利用には、自治体窓口や相談支援事業所への相談から始まり、インターネットやチラシ等で事業所を調べる⇒興味を持った事業所に見学をしてみる⇒受給者証申請⇒利用契約締結という手順で利用するこができます。

⇒ 詳しくは、就労移行支援の利用方法ガイド – 施設見学から利用開始まで

(2)利用料及び利用期限について

利用料は、次の通りです。①市町村民税課税世帯の場合、通所者は月額上限9,300円、②20歳以上の入所施設等利用者は37,200円です。

利用期限は原則2年間です。但し、条件により1年の延長も可能です。※就職後の定着支援は期限に含まれません。

就労移行支援】についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをクリック

(3)就労移行支援から就労定着支援へ

障害のある方が、一般就労した場合に就職した職場で定着できるようにサポートをしてくれる制度が就労定着支援制度です。

ですが、就労移行支援事業所、就労継続支援A型及びB型事業を利用して一般就労した場合、この就労定着支援のサポートを受けることができます。ですが、これらの就労支援施設の中で、就職率は断然就労移行支援事業所を利用した方が高いのが事実です。

その為、就労移行支援のサポートを受ける方が、就労定着支援のサポートを受ける人も多くなります。

就労定着支援制度では、経験豊富な支援員が就職後に生じる様々な課題に対処し、長期にわたる雇用の維持を後押ししてくれます。

この支援は、障害のある従業員と雇用主の両者に利点をもたらし、最大3年間にわたって活用することができます。職場の環境整備から日常生活に関するガイダンスまで、幅広い分野で綿密な援助があります。

【余談】

当センターもこの「就労定着支援」のサービスを受けて、障害のある方を採用しています。職場側の思いや、働いてくれている障害のある方との意思疎通がスムーズかというと思いの行き違いが発生しやすいのも事実ですので、第三者が間に入ってくれることで助かっているのを実感しています。

もし就職はしたけど、職場に居場所がないと感じることがあれば、「就労定着支援」のサポートを受けることをご検討してみてはいかがでしょうか。

就労定着支援】についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをクリック

2,就労継続支援(A型・B型共通)について

就労継続支援は、一般企業での就職が困難な障がい者に働く場を提供するサービスです。A型(雇用型)とB型(非雇用型)の2種類があり、対象者や支援内容が異なります。

就労継続支援A型事業所について

「就労継続支援A型事業所」は、特別な配慮が必要な人たちが働ける場所です。この事業所では、一般の会社で働くのが難しい人たちに仕事の機会を提供しています。

利用者は、現在の自分ができる作業を通して今後の社会参加への見通しを立てることもでき、必要な経験や訓練等を積み重ねることで就労と自立を促進する重要な制度です。

目的:働く場の提供

対象:現時点で一般企業への就職が難しい、または不安がある方

内容:継続的に働ける環境の整備 就労継続支援A型事業所について 就労継続支援A型事業所は、障がいや難病のある人が安心して働ける場所です。

一般就労が難しい人に仕事の機会を提供し、利用者に合わせた支援を行います。利用者は従業員として雇用され、最低賃金が保障されます。

自分のペースで働きながら、技術や知識を身につけることができ、社会とのつながりも得られます。この事業所は、障がいのある人の自立を支援し、自信や生きがいにつながる重要な役割を果たしています。

就労継続支援A型】についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをクリック

(1)就労継続支援A型事業所の賃金について

就労継続支援A型事業所では、雇用契約に基づく就労機会の提供、最低賃金の保証、柔軟な勤務時間など、用者に配慮した仕組みが特徴です。一般就労へのステップとしても活用でき、経済的自立と社会参加を促進する役割を担っています。但し、地域によって給与に差があります。

詳しくは、就労継続支援A型事業所|障がい者の就労支援と収入の現状

就労継続支援B型事業所について

就労継続支援B型事業所は、一般企業やA型事業所で働くのが難しい人々のための働く場所です。

障がいのある人、難病を抱える人などが対象で、年齢や体力面での制限がある人、障害基礎年金1級受給者なども利用可能です。

雇用契約や最低賃金保障はありませんが、生産活動の機会提供や就労に必要な知識・能力向上のための訓練を行います。

利用者は自分のペースで作業に取り組み、技能を高めることができます。B型事業所は、より手厚い支援を必要とする人々の働く意欲に応える場所となっています。

就労継続支援B型】についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをクリック

項目A型(雇用型)B型(非雇用型)
雇用契約ありなし
最低賃金保障あり保障なし
対象者一般就労が難しい人A型での就労も難しい人
支援内容就労に必要な知識・能力向上のための訓練生産活動の機会の提供、就労に必要な知識・能力向上のための訓練

これらのサービスの違いを理解することで、自分に合った支援を選びやすくなります。

障害者就労支援施設の選び方

障害者就労支援施設を選ぶ際は、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。

1. 障がいの種類に合った事業所を選ぶ

障害者就労支援施設では、精神障がい、発達障がい、身体障がい、知的障がい、難病など、さまざまな障がいに対応していますが、事業所によっては得意分野が異なりいたり、障がいの程度が重度の方はお受けしていない場合もあります。

自分の障がいの種類や程度に合った支援が受けられるか確認しましょう。

2. 訓練・プログラムの内容が自分にぴったり合うか

事業所ごとに提供するプログラムは異なります。専門資格の取得支援、ビジネスマナー、面接対策、特定の技術習得など、自分のニーズに合ったプログラムがあるか確認しましょう。

3. 通いやすさや立地を確認する

就労移行支援は通所型のサービスです。自宅からの距離、交通手段の利便性、バリアフリー対応などを考慮し、無理なく通い続けられる事業所を選びましょう。

4. 就職実績と定着率を確認する

特に就労移行支援では、各事業所ごとで就職件数等が公表されています。下記は「就労移行支援 北海道」の令和4年・令和3年の実績。

就労継続支援A型就労継続支援B型についても公表されています。ご興味がある方は、こちらをクリック

この就職件数は、就労支援施設側の質を示す重要な指標です。高い実績を持つ事業所は、効果的な就職支援のノウハウを持っている可能性が高いでしょう。

5. 見学・体験利用を活用する

パンフレットやウェブサイトだけでなく、実際に見学や体験をしてみることで、事業所の雰囲気や支援の質を直接確認することができます。できれば貪欲に複数の事業所を比較検討してみることをお勧めします。

《参考記事》

就労移行支援の利用方法ガイド – 施設見学から利用開始まで

障害者就労支援の現状と課題について

障がい者を抱える方達の就労を支援する為に、職業訓練や相談、資格取得支援、企業への補助金制度、A型・B型就労支援施設などの取り組みが行われています。

しかし、障がい者自身が就労支援についての情報が十分に得られていない、企業の障害への理解不足であったり、就労環境の整備不足、精神的サポートの欠如などの課題が存在しています。

逆に、企業との連携や地域コミュニティとの取り組みなど、成功事例も見られます。

障害者就労支援の現状と課題】についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをクリック

まとめ

障害者総合支援法に基づく就労支援サービスには、前述した通り、就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型があります。

大雑把な説明をすると、就労移行支援は、一般企業での就労を目指す方に適しています。一方、就労継続支援は、すぐには一般企業で働くのは難しいけれど、働く機会を持ちたい方に向いています。

もっと言うと、一般就労を目指す人は就労移行支援、ある程度の就労能力がある人はA型、より多くの支援が必要な人はB型が適しています。

自分に合った事業所を選び、働く喜びを感じながら自立に向けて歩んでいくことが大切です。各サービスの特徴をよく理解し、必要に応じて見学や体験利用を活用してみしょう。適切なサービスを選ぶことで、効果的な支援を受けられます。

参考資料

1,令和5年 障害者雇用状況の集計結果